昨今テレビ事情 [回想録]
今月のお墓参りの日。
いつものように腰掛け、お庭を眺めながら野中上人とお話し。
「野中さん、テレビ見ましたよ。実物通りのいい男に映ってました」
「きく姫さんとわたしなのにたいしたオチがなくすみません」
「けっこう時間かかったんじゃないですか?」
「それもそうなんですが、東郷寺内で撮影するのにいろいろ制約がありまして。その確認やら何やらでむこうと何回も連絡をやり取りしなければならなくてそれがちょっと手間取りました」
「スクールウォーズの撮影の時もここがロケ現場の日があってびっくりした事あったんですけど、東郷寺さんはロケーションがいいから撮影で使わせてほしいっていうの多いんじゃないですか?」
「そうなんですよ。それで何度か問題があったりして・・・今はドラマの撮影などでは使うことないのですよ」
以前ほどではなく今では随分変ってきたと思うのですがそれでも撮影する人達の考えと現場を貸す人との思いは完全には会わないと思います。
野中さんとの話の中でこんな話をしました。
僕の聞いた話。
今では考えられないのですが・・・
昔、黒澤明監督の作品で「天国と地獄」という作品がありました。
誘拐もののサスペンスで傑作です。
その中で、犯人が身代金の受け渡しの方法として現金の入ったカバンを持って電車に乗るように指示をします。
もちろん電車の中にはたくさんの刑事が見張ってます。
電車の運転席にも刑事が入り8ミリフィルムを持って車外の様子を撮影しています。
結果、犯人は捕まらず逃げるのですが、操作会議でその運転席から撮った8ミリフィルムから映った外の様子から犯人を見つけ出し捜査していくという話の筋です。
その捜査の中で刑事たちが資料として見る8ミリフィルムの映像の中に入ってしまう民家の2階部分が邪魔だという話になったようです。
(本編の中の画づらに映りこんでしまうというのではありません。あくまでも刑事たちが資料として使うフィルムの中の画です)
そして黒澤組が、これこれこういう訳でお宅のお2階が邪魔ですので取り壊させて頂きたい。もちろん撮影が終わりましたら映画会社の方で元通りにさせていただきますから。
と、いうようなことで取り壊してしまったという事です。
「・・・」
どこまで本当かわかりませんが。
なんか時代ですね。
今だったらどうでしょう?
いきなり
「・・・撮影がありまして。誠に申し訳ございませんがお宅のお2階が映り込んでしまいますのでいったん取り壊させて頂いて・・・」
考えられませんね。
確かに昔は近所で映画やテレビの撮影をやっていると人だかりができていたものでした。
今は、撮影しているところを見かけてもあまり人って集まってないような気がします。
それから何かで読んだような気がしますが、30代の男性の一日のテレビを見る時間がネットをやる時間よりも少なくなったとか。
TBSテレビの視聴率が非常に悪く、以前のTBSを見る影もないとか。
水戸黄門も終わりますし。
僕が映像の世界に入った頃からやめるまでの短い間でも撮影する時のスタッフの意識もかなり変っていました。
家財を傷つけないよう、ゴミを残さないよう、車両等の扱いで近所に迷惑掛けないよう等々・・・
去年何度かテレビ番組に出ましたが、なるほど細かいところまで丁寧に確認の連絡を入れてきたりします。
しかし、実際その中でちょっとした事故がありました。
それはないとは言えない事故だったのでその事自体には腹は立ちませんでした。
しかし初動がよくなかったです。
結果二重三重の手間になりました。
20代のADのミスだったのですが、ミスは誰にでもあることなので仕方がないと思いましたがその事後処理には思うところがあったので責任者を含めて意見を言いました。
僕ではなく第三者に迷惑をかけてしまった事でしたから。
本人悪気はないのでしょうが。
僕らの仕事でもそうですがついつい忙しいと自分本位になりがちですがやはり相手の気持ちや何を優先にするべきか、一息ついて考える事は大切だと思います。
なかなか心がけようと思ってもできないんだよなぁ。
ついつい・・・
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