熊手のお値段 [都寿司]
本日大安吉日。
今年も例年通り以前記事にも書きました大黒さん(こちら)に熊手を入れて頂きました。
熊手、新しくなりますといよいよ年末、お正月を迎えるという気持ちになります。
ところでこの熊手、お酉様で売ってるわけですが何年か前熊手に値段がついたとお客さんと話題になりました。
もちろん熊手も物ですから当然値段はあるわけですが、要するに「値札」がついたんですね。
値札をつけて売っているお店があったと。
以前の記事にも書きましたが、僕らの地元に熊手屋さんありますんで商売もやってることもからも熊手には親しみを感じているものです。
ですから値札をつけて売っているということには違和感を感じるんですね。
その時もお客さんと時代なのかなという話になりました。
皆さんもご存知のように熊手は縁起もんですね。
ですから昔から買い方にも独特の雰囲気があります。
「値段」についても売り手と買い手のやり取りを楽しんで頂きたい。
「ご祝儀」は当然です。
これは以前ある旦那さんから聞いた熊手の買い方。
「熊手はよう、買うときにまず値段聞くだろう。そんでまぁ、一万円だって言われたらそこで値段の交渉に入るんだよ。そんでな、その売り手の人が二千円なり三千円なり引いてくれるとすんだろ。仮に七千円だったとするよな、そしたら一万円渡して三千円おつりもらうわな。そんで、今度はこっちからこれは祝儀って言って三千円渡すんだよ」
そうなんですよね。
昔はそのような事よくありました。
例えば若いころ太子堂というところで長く出前持ちをやってました。
当時は太子堂は古いお屋敷が多かったのですがそこの旦那さんたちも昔ながらの人が多かったです。
正月などは鮨屋は忙しいのですが、出前持っていくと奥さんじゃなく着物着て赤ら顔の旦那さんが出てくる。
勘定を頂戴しておつりを渡す。
そしておつりを受け取るともう片方の手の袂から「はい、これはおにいちゃんのご祝儀」と言ってポチ袋に入っていたりそのままであったりいろいろでしたがけっこうありました。
おつりはおつりでもらって祝儀は祝儀。
「おつりとっとけ」は少なかったような気がします。
巷でも言ってますが、年末にしろお正月にしろ年々「らしさ」が薄れていくと。
少しずつでも何年もたつと「気が付けば・・・なくなっちゃったよねぇ」のようなものありますよねぇ。
いい話だなぁ、と思ってすぐにコメントしようと思ったのですが、
しばらくかみ締めてました。
そうですね。おつり取っとけ、は見栄っ張りですね。
そんな気がしてきました。
お店の方も、あとで計算がややこしくなりますよね。
やっぱり、それなりの経験や立場の人は、
別でご祝儀やチップを用意しておいたりするものなのでしょうね。
by 方丈安穏 (2012-12-18 08:16)