高倉健の健、菅原文太の太! [回想録]
ちょっと前、地上波で放送されていた映画「あなたへ」。
録画していましたが、なかなか観る機会がなくやっと観られたと思って、久しぶりに 健さんの映画を観たその2、3日後に訃報。
その後、いつものようにふと寄ったツタヤで借りた沢田研二主演、「太陽を盗んだ男」。
これに、この映画で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞した菅原文太さんが刑事役で出ていた。
もちろん「仁義なき戦い」や「トラック野郎」観てきて育ってるんで懐かしいなぁと思いながら観ていました。
また、その後にすぐ訃報。
もう、十年以上前になりますが、、、
鮨屋でカウンターを挟んで、そりゃあもう目いっぱい健さんファンの地元の先輩と話しした事思い出しました。
何でだよ、何でお前が健さんと会えるんだよ。
いや、いや、そう言われても・・・
そもそも、会ったって言うか、見ただけですから。
しかし、すごいっすね、オーラと言うかなんと言うか。
僕ね、めったに乗らないんですけど、陽気もよかったし、たいした買い物でもなかったし、原付で出かけたんスよ。
で、環七から柿の木坂の陸橋を右に曲がって駒沢通りに出たんですよ。
そしたら、車渋滞で。
柿の木坂から医療センターまでけっこう混むじゃないですか。
それで、僕は歩道側の端っこを渋滞している車を横目に抜けて行ったんですね。
あの、医療センターに向かう駒沢通りの坂道を。
つらつら坂道を上がっていったんですが、渋滞で止まっている2、3台前のちょっと型の古いグレーの ポルシェを抜いた瞬間、いや、なんていうんだろ。
ポルシェ、左ハンドルだったんですけどね。
歩道側の左から原付で抜かそうとすると、ちょうど左のドアミラーが抜かそうとする僕と、ポルシェのドライバーと目の合う角度の瞬間があるわけじゃないですか。
それで抜かす瞬間なんとなく視界に入ってんですね。
そのポルシェのドライバーが。
視界に入っただけですよ。
抜かす瞬間。
一瞬。
それが、ものすごくかっこいい爺さんなんですよ。
爺さんなんて言って、怒んないで下さいよ、先輩。
何だ、かっこいい人だなと思って、抜かしたあとすぐ止まって振り返りました。
ポルシェ。
びっくりしましたよ。
高倉健だ。
薄いサングラス掛けて。
何だよフィルム貼ってないのかよ。
かっこいい。
日の光とフロントガラスに映った景色の向こうに覗く健さんの姿にしびれましたね。
んでね、今考えれば、自分のとった行動なんだったのかわからなかったですけど・・・
そのまま、大急ぎで、駒沢公園のあの階段があるとこあるじゃないですか、あそこまで行って。
そういえば、日体大の先の辺りに健さんはマンション持ってるなんて話聞いたこともありました。
あの、階段の下に原付停めて。
不思議ですね、誰も僕の事見てるわけじゃないのになんとなく、「俺は誰を待ってるわけじゃないんだぜ」みたいな態度になって。
空見上げたり、靴の先の汚れ気にしてみたり。
果たして来たんですね。
渋滞を抜けたグレーのポルシェが。
スピード上げてこっちに向かってきて。
僕の前を通り抜かすその瞬間。
やっぱり言いましたよね。
心の中で。
掛けましたよ。
声を。
「健さん!」
まあ、見かけただけの話しですから、勘弁してくださいね、先輩。
昔観ていたテレビ番組「傷だらけの天使」
僕らと同世代の方は皆さんご存知かと思いますが。
その中でショーケンこと萩原健一演じるオサムちゃんがしばしば自分の息子の話をする時に必ず
「高倉健の健、菅原文太の太で健太だ」
と言っていたのが思い出されます。
「健」も「太」もいなくなってしまったんだなぁ。
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